Tuesday, October 16, 2018

『人魚の眠る家』試写会

【10月16日 記】 抽選に当たって映画『人魚の眠る家』の試写会に行ってきた。

僕は文章の書き手としては東野圭吾を評価していない。何冊が読んでみたけれど、結局もう読むことはなくなった。ただ、この作家の小説はドラマ化/映画化すると意外に良い作品になることが多い。

多分、物語の初期設定と基本的なストーリーの組立て方は良くできていて、逆に人物の描写は薄いので脚本家が自由に肉付けして行きやすいのではないかと思う。

で、結論から先に書くと、この映画は非常に良かった。

脚本を手がけたのは篠崎絵里子。映画の脚本は久しぶりだと思うのだが、これは彼女のベストになったのではないだろうか。言葉の選び方が見事に適切なのである。

周りが見えなくなってしまった時に言いそうな乱暴な台詞。カッとしてつい口走ってしまいそうな不適切な表現。理屈も何もあったもんじゃない身勝手な言い分。逆に精一杯自分を抑えて相手の気持ちを鎮めるのに適切な言葉…。

この映画は一応医療ドラマ風の体で始まる。だが、原作が東野圭吾で監督が堤幸彦となると、単に医療現場の葛藤や病気の子供を持つ親の心持ちを描くだけで終わるはずがない。そう思いながら観ていると、元から怖い設定が、どうなるかどうなるかという感じで、どんどん怖くなる。

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Sunday, October 14, 2018

映画『あのコの、トリコ。』

【10月14日 記】 映画『あのコの、トリコ。』を観てきた。原作は“あのトリ”と略される人気少女漫画だそうだ。

映画館はその原作のファンか、あるいは主演の吉沢亮のファンか、ともかく若い女の子でいっぱいで、男女比はカップルの片割れを含めても1:30 ぐらい。

そんな中で僕の目当ては新木優子である。昨年の市井昌秀監督による主演作品『僕らのごはんは明日で待ってる』がとても良かったから。新木優子は non-no のモデルとしては夙に有名らしいが、僕はこの映画で知った。

しかし、残念ながらこの映画も、そして、この映画における女優としての新木優子も、実のところあまり注目も評価もされなかったようだ。なのに僕は、映画も新木優子もとても気に入ってしまった。僕にはよくこういうことがある。

さて、今日の映画の話に戻すと、男2人+女1人が幼馴染の三角関係という定番中の定番の設定である。3人とも役者志望だが、立花雫(新木優子)と東條昴(杉野遥亮)は子役として経験を積み、雫は雑誌のモデルとして、昴は新進の俳優として順調なその後を歩んでいる。

それに対して、鈴木頼(より)(吉沢亮)は、(はっきりとは描かれていないが)多分「みんなの前で大きな声でお話ができるように」という親の思いでやらされていただけで、オーディションにも落ちまくって、雫と一緒に映画に出ようと指切りしたことも忘れていた。

親の転勤で雫らとも離れ離れになっていた頼が、ある日コンビニで雫の写真が雑誌の表紙を飾っているのを見つけて、役者になる夢、というよりも雫への思いが甦って、雫と昴の通う高校に転入してくる。──それが映画の出だしである。

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Friday, October 12, 2018

天空の楽園

Starrynighttour

【10月12日 記】 会社を休んで夫婦で長野県の昼神温泉に行ってきた。長野県下伊那郡阿智村昼神──日本で一番きれいな星空が見えると言われている場所である。今回の第一目的ももちろん星空鑑賞である。

ホテルからのバスが街明かりを抜けて真っ暗な山道をしばらく走るとケーブルカーの駅に着く。そこから座席のないケーブルカーに8人ぐらいずつ放り込まれ、場所によってはほぼ真っ暗な中、さらに靄がかかっていたりもする中をガクンッと揺れながら12分間も立っているのは結構怖い。

着いたところは空の開けた空間。地上より10度ほど気温が下がった山頂の芝生にみんな寝っ転がって空を見る。

進行役のお姉さんに目をつぶれと言われて、あらゆる建物の照明が一斉に消されたあと、カウントダウンが始まって一斉に目をあける。

ところがこの日の空は厚い雲に覆われて何も見えないのであった。──ガーン!そんなことがあろうとは!という感じ。

いや、もちろん出かける数日前から天気の心配はしていた。ただ、妻は強烈な晴れ女である。僕はかなりの雨男だが、一緒に出かけるときは全然勝負にならない。雨の予報を覆して晴れにしてしまうような人なので、まあ大丈夫だろうと僕は楽観していた。

そうしたらやっぱり当日の予報は雨から曇り、曇りから晴れに。ね、やっぱり大丈夫と思っていたのだが、しかし、陽の光が地上に届くような天気であっても、空が雲に覆われているとやっぱり星は見えないのである。

雨が降っていなくても、雲に覆われて星が見えないことがある、というところまで僕の想像力は及んでいなかったのである。

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Tuesday, October 09, 2018

劇場版『NIGHT HEAD』

【10月9日 記】 WOWOW でやっているのを見つけて録画しておいた劇場版『NIGHT HEAD』を観た。1994年だから、ほぼ四半世紀前の映画だ。

その前にフジテレビの深夜でやっていたテレビのシリーズも途中からずっと観ていた。

妻が「この映画を25歳で観た人も今では50歳なのよ」と驚くので(正確に言うと、49歳だけどな)、僕も「50歳で観た人は75歳だ」と応ずると、「50歳の人は観ていなかったと思う」と返された。うん、確かにそうだろうな。

でも、若い時に熱狂した人であれば、今見ても全く色褪せることなく、めちゃくちゃ面白い──そのことに逆に驚いたぐらいである。

カルト的な人気を誇り、語り尽くされた感のある作品なので、僕がここでくどくど解説する気はないが、直人(豊川悦司)と直也(武田真治)という、ともに超能力を持つ兄弟の話である。

自分でも制御できないその能力のために周囲から怖がられ、疎まれ、山奥の研究所に閉じ込めれられていた2人が逃げ出すところからテレビ版のドラマは始まる。

このドラマが当時画期的だったのは、それまでは超能力者と言えば端的にカッコいいヒーローとして描かれるのが一般的だったのに、ここでは超能力を持つ者の苦しみや悲しみを描いたところである。

兄の直人がサイコキネシスによって物を動かしたり壊したりする能力の持ち主であるのに対して、弟の直也はリーディングの能力によって、周囲の人間の心を読み取る。

と言うよりも、直也の場合は悪感情が一気になだれ込んできてしまう体質で、彼が危機を察知した後はずっと頭痛に襲われてヨタヨタしているという、むしろ圧倒的に無力な存在として描かれている点が肝である。

兄はその弟を護るためなら何でもするが、気がはやるばかりで、自分の激しい感情をうまくコントロールできず、むやみな破壊をしてみたり、いざというときに躊躇したりする。

そんな風に、スーパーヒーローであるはずの存在がただの弱い人間でしかないという逆説的な設定が面白いのである。

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Sunday, October 07, 2018

映画『日々是好日』

【10月7日 記】 映画『日々是好日』を観てきた。

先日亡くなった樹木希林の遺作を先行ロードショーで観ようとやってきた人が多かったのだろうが、僕の目当ては大森立嗣監督である。

いきなり良いアバンタイトルだなあと思った。

時代は1990年代前半。典子(黒木華)と美智子(多部未華子)はともに二十歳のいとこ同士。典子は真面目で努力型で理屈っぽくておっちょこちょい。美智子は素直でちゃっかりしてて現実的で思い切りが良い。

その2人がひょんなことから近所に住む武田先生(樹木希林)のもとでお茶を習い始める。

そういう設定とストーリーの端緒を手際よく説明しておいて、2人が初めて武田家を訪れた時に、蟻壁に掛けてあった扁額が映る。そこに書かれてあった文言が「日々是好日」──そしてそれがアップになってそのまま映画のタイトルになる。

僕は「ひびこれこうじつ」かと思ったら「にちにちこれこうじつ」と読ませている。さらに調べてみると、これは黄檗宗の高僧の言葉なのだそうだが、そこでは「にちにちこれこうにち」と読ませていたりする。

漢文が苦手な人は意味が取りにくいかも知れないが、中国語の「是」は英語の be動詞だと思えば良い。つまり、 Everyday is a good day の意である。

そのあと for 何と続くのかは観た人それぞれの感性で解釈して構わないと思うが、ざっくり言ってしまうと、 Everyday is a good day for you to live through みたいな感じかな。

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Saturday, October 06, 2018

Siri のショートカット

【10月6日 記】 iPhone XS の発売と iOS 12.0 のリリースに伴っていろいろな新しい機能が出てきて、それが新しい記事になっている。

そういうのを1つ読んでいると、Siri のショートカット機能というのが出てきた。そんなものがあるとは知らなかった。

僕のは iPhone X だが、そう言えばこの機種に切り替えてから Siri を全然使っていない気がしてきた。試しに Hi, Siri と呼びかけてみたが応答がない。Hey, Siri とも呼びかけてみたがナシのつぶてである。

どうやらその設定さえしていなかったらしい。

そこで改めてまずは僕の声を認識してもらうように設定して、それからショートカット機能を使ってみることにした。

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Wednesday, October 03, 2018

飛行機と Wi-Fi

【10月3日 記】 一つ前の記事で、早めに運休・欠航を決めてくれるとありがたいと書いたのですが、早めに決められない状況でちょっとした災難に遭ってしまいました。

昨日出張で大阪に行ったのですが、JAL111便が伊丹空港に近づいてベルト着用のサインが点いた後、やおら「機長のところに入りました報告によりますと伊丹空港の滑走路が閉鎖しているようです」との CA さんのアナウンス。

どうやら、搭乗スタッフにも細かい情報が入っていないようで、どういう状況で滑走路が閉鎖されているのか全く分かりませんし、それ故いつごろ復旧しそうなのかの説明もありません。

そうこうしているうちに、「この飛行機は関西空港に着陸します」との淡々としたアナウンス。

ま、幸いにして今は機上で無料で Wi-Fi が使える(というか、この日もすでに使用中だった)ので、昼前のアポイント先にこういう事情なので行けそうもないとメールを入れました。

そして、珍しい状況に見舞われたので、facebook と twitter に投稿したら、いろんな人がいろんなことを教えてくれます。

曰く、「滑走路にパンクしたタイヤの破片が散乱したらしいですね」「JAL111 だけが緊急避難になったみたいですよ」「全日空機らしいから、こりゃ完全に営業妨害ですね」等々。

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Monday, October 01, 2018

鉄道と将棋

【10月1日 記】 台風21号が上陸したとき、関西の鉄道は早々と運休を決めた。昨日の台風24号の際も、関西・関東ともに多くの鉄道会社が早くに運転打ち切りを発表した。

とても良いことだと思う。止めてくれるとあきらめがつくのである。

もちろん、雨が降ろうと槍が降ろうとどこかに急いで行かなければならない人もいるだろうが、どのみち荒天の中どこまで行けるかは知れたものではない。

でも、「とにかく行けるとこまで行こう」というのが人間の心理、と言うか、ひょっとすると日本人特有の気質なのかも知れないが、ともかく日本にはそういう発想をする人が(僕も含めて)少なくない。

そんなもんだから、台風来襲と重なった僕の人生最初の転勤は新大阪から東京まで6時間もかかってしまった。

次の転勤で大阪に戻った後、またもや台風に見舞われた僕の東京出張の帰路は、東京から新大阪まで12時間もかかってしまった。

鉄道だけではない。悪天候によるフライトキャンセルで飛行機が飛ばなかったことはたびたび。

いや、飛ばなかったのはまだマシで、朝から夕方まで伊丹空港で「もう飛ぶか、もう飛ぶか」とアナウンスを待ちながら順番にアポイントメントをキャンセルして結局夜の会食になんとか間に合ったということもあった。

いや、それよりもっとひどい、と言うか、怖かったのは、秋田空港で吹雪の中いざ滑走し始めたものの次第に機首が上がる素振りもまるでなく、いきなりものすごい急ブレーキをかけて飛行機が止まったときだった。

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Sunday, September 30, 2018

日本の鉄道は時間に正確

【9月30日 記】 外国から来た人は日本の鉄道の時間の正確さに驚くという。確かにそうだ。日本では電車はほぼ時刻表の通りに来る──と僕も思っていた。だが、東京は少し違う。

統計を取って平均値を出せば、東京の鉄道の正確さは他県他地区の鉄道より劣るだろう。

もちろん東京の乗務員が怠惰だと言うのではない。東京は路線が長すぎるのだ。

なぜ我孫子の信号機故障で成城学園前の電車が遅れるのか? どうして川越の人身事故で元町・中華街の電車がホームを出発しないのか?

相互乗り入れに次ぐ相互乗り入れで、路線が長くなりすぎている。その長い路線のどこかで何かがあると、それは長い路線全体に波及するのである。

路線が延びた恩恵に浴して端から端まで行く人は良いのだが、中抜けでちょっと乗る人にとってみれば、聞いたこともない駅の近所でのアクシデントが今自分に影響しているというのは、まるで江戸の敵を長崎で討たれるような気分である。

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Saturday, September 29, 2018

映画『きみの鳥はうたえる』

【9月29日 記】 映画『きみの鳥はうたえる』を観てきた。僕が知らなかった監督、三宅唱。

最初に感じたのはそれぞれのカットの長さ。所謂「長回し」で役者に切れ目なく芝居をさせるという感じでもない。むしろ「カメラは1台しかないんだし、あんまり面倒なことはしない」みたいな感じを受ける。

でも、それがそんなに悪くない。凝った構図でも何でもないが、それが意外に悪くない。

会話のシーンでは話している俳優のアップに順番に切り替えたりするのが一般的だが、この映画では据え切りのカメラで喋っていない人物を捉え、左右のフレーム外から2人の俳優に会話させたりしている。それはそれで面白い。

この映画は佐藤泰志の小説を原作としており、他に彼の小説を原作としている映画として『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』『オーバー・フェンス』がある。

『海炭市叙景』は観ていないが、なるほど他の2本とは共通性がある。しかも、それらはいずれも菅原和博という、函館シネマアイリスという映画館を経営している人物が映画化を企画したのだと言う。

舞台は(映画の中で明示的には語られないが)函館である。北の街の短い夏の物語である。少し寂れたところもある函館の街明かりの色合いが良い感じだ。特に夜のシーンが良い。

佐藤泰志は函館出身の作家であるが、この原作小説は東京が舞台だったらしい。それをここでは現代の函館に置き換えたのである。現代に置き換えたことによって、小説が書かれた時代には存在しなかった iPhone が小道具として使われる。

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Thursday, September 27, 2018

OVO

【9月27日 記】 ある程度年を取ってから、と言うか、もっと分かりやすく書くとここ数年ということだが、僕はときどきいくつかのクラウドファンディングのサイトでいくつかのプロジェクトを支援してきた。

リターンを期待して、というのももちろんあるのだけれど、新しい何かをやろうとしている人を支援したいという気持ち(つまりそれが、ある程度年を取ってからの心境である)もあってのことだ。

一番最近の事例を挙げると、TSUTAYA の T-SITE がやっている GREEN FUNDING で支援した「USBにつなぐだけ! 映画館の感動を完全再現するポータブルスピーカー誕生 Made in TOHOKU 『OVO』」である。

なんと、このプロジェクト、7000人超のサポーターから 9000万円以上の資金を集めてしまった。

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Monday, September 24, 2018

映画『響 -HIBIKI-』

【9月24日 記】 映画『響 -HIBIKI-』を観てきた。月川翔監督。

まず驚いたのはアヤカ・ウィルソン。僕はちゃんと名前を憶えていた。いやぁ、大人になったね、きれいになったね。思えば『パコと魔法の絵本』はもう 10年前か。

それは、ま、措いといて、この映画も漫画が原作。昨年のマンガ大賞受賞作品。15歳の女子高生・鮎喰響(あくい ひびき)が圧倒的な小説を書いて、芥川賞と直木賞をダブル受賞する話。

響は自分の考えを曲げない。馴れ合いやごまかしを許さない。許せない相手に出会ったり、暴力的な恐喝に遭うと、相手が暴力を振るう前にこちらから暴力に訴える。

若者に特有、と言うよりも、それを極端化した独善で、しかも暴力を振るうというのは良くない。褒めるべきことではない(月川監督もその辺りの表現に苦心したと言っている)。

ただ、響の場合は一時の激情に流されているのではなく、彼女の中で完全に理屈が通って整合性が取れている。そこがこの天才少女のすごいところである。

で、その響を演じたのが欅坂46の不動のセンター・平手友梨奈。

この辺りの大集団アイドル・グループになってくると僕はほとんど顔と名前が憶えられないのだが、『サイレントマジョリティー』や『月曜日の朝、スカートを切られた』は大好きな歌で、ああ、あのショートヘアの娘か、と思う。確か、紅白歌合戦で過呼吸を起こして倒れたうちのひとりだった。

秋元康は東宝からオファーがあって原作を読み、これはまさに平手友梨奈自身ではないか!?と驚いたと言う。確かにそのとおりだと思う。この映画の成功はまさにこのキャスティングにあったと言って良い。

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