Monday, October 14, 2019

映画『惡の華』

【10月14日 記】 映画『惡の華』を観てきた。井口昇監督。そして、脚本が岡田麿里という、ちょっと考えられなかった組合せだ。ほんとは公開日に観たかったのだが、旅行中だったので果たせず今日になった。

唸るような出来だった。井口昇の映画世界がここに至って完成した気がする。今まで撮ってきた特撮ヒーロー物、エログロ、青春恋愛ドマラのどれもこれもが今ここに向かって収束した気がする。もう次の作品は撮れないのではないかと心配になるほどである。

この映画には連載開始直後から大評判になった原作漫画がある。

井口は押見修造による同名の漫画を読んで、これほど「酸素のように体に染み渡って理解できて感動した作品は初めて」と言い、いつか映画化したいと企画書を書き、8年の時を経てようやく映画化にこぎつけた。

一方、押見は19歳のときに井口監督の『クルシメさん』を観て、抜け出せなかった閉塞感を吹っ切れた感じがしたらしい。「漫画家になれたのは井口監督のおかげ」とまで言っており、井口監督による映画化を切望していた。

そんな具合だから、これは井口昇の、井口昇による、井口昇のための映画であると言って良いだろう。

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Saturday, October 12, 2019

台風の一日

【10月12日 記】 超大型の台風19号の影響でどこにも出られない。朝から合計4回、けたたましい警報が夫婦2台の iPhone で同時に鳴ったものの、避難とかいう状況ではない。

朝のうちにもう一度マンションの隣のコンビニに。品薄ではあるが開いてはいる。そして、お客さんはやたら多い。レジで「今日は一日閉めませんのでよろしくお願いします。商品が少なくてすみません」と店長らしき人が頭を下げる。

ゴミの日ということもあって、管理人さんは早朝から来ていた。ひょっとしたら泊まったのかもしれない。ふと気づくと、その管理人さんがコンビニで雑誌を立ち読みしていたので、夫婦で目配せして声を掛けずにマンションに戻る。

飲料水は昨日から汲んである。たまに会話をしながら、お互い自分のことを黙々とやっている。3時になったので僕がハーブティを淹れた。

そして、普段の何倍もの時間、テレビがついている。

窓の外は煙っている。雨粒が細かいので静かだ。

「まるで大晦日みたいね」と妻が言った。

やがて年が明けるように台風も過ぎて行くだろう。

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Thursday, October 10, 2019

映画『左様なら』

【10月10日 記】 映画『左様なら』を観てきた。

ああ、青春って、ほんとにめんどくさーい!って叫びたくなるような映画。でも、確かにあんなこと、こんなことあった。

由紀(芋生遥)は綾(祷キララ)と仲が良い。でも、その綾が突然死んでしまう。クラスの中ではちょっと孤高の存在っぽくて、とっつきの悪かった綾に、いろんな噂が立つ。

そして、死んでしまった綾を露骨にこき下ろしていたクラスのボスっぽい女子・結花(日高七海)に腹を立てた由紀は、彼女に頭から花瓶の水を浴びせてしまう。それで、その日から由紀はみんなにハブられ始める。

──って、あらすじを書いても仕方がない。この映画はそこじゃないんだ。そんなストーリーを追っても仕方がない。

大勢の男女高校生が登場するのだけれど、役の軽重はあっても、一人ひとりがほんとうにくっきりと描かれている。

ああ、青春ってめんどくさい。傷ついて、傷つけて、その傷つき方、傷つけ方が一人ひとり違う。あんな奴もいた、こんな奴もいた。それは自然なことなんだが、それがとてもめんどくさい。

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Tuesday, October 08, 2019

映画『蜜蜂と遠雷』

【10月8日 記】 映画『蜜蜂と遠雷』を観てきた。監督は『愚行録』の石川慶である。脚本と編集も手掛けている。

冒頭、7年ぶりに舞台に立った往年の天才少女ピアニスト・栄伝亜夜が、控室の鏡の前で、練習するように微笑む。一度、そしてもう一度。この笑顔がとても良い。単純に明るい笑顔なのではなく、複雑ないろんなものを飲み込んだ笑顔なのである。

幕が開きピアノの前まで歩いてきて座るシーン。見るとカメラが微妙に揺れているのである。これも亜夜の心の動きを写している。こういうところから期待感を持たせてくれる。そして、指が鍵盤に触れる直前で入ってくるのはピアノの音ではなくベースの音──そこでタイトル。こういう外し方も僕は好きだ。

音楽を扱った小説の映画化というのは難しい。『羊と鋼の森』もそうなのだが、文章で書いてあるからこそ読者の頭の中で音が響き渡るのである。それが、映画にしてしまうと、実際に耳から音が飛び込んできてしまうのだ。

この映画は、そこのところを逃げずに、ちゃんと音で勝負してきた感があって嬉しいくらいだ。音の途中から台詞をかぶせたりしてうまく逃げたところもあるにはあるのだけれど、それは飽きさせないためでもある。コンパクトにまとまって、話もすっと入ってくる。

恩田陸の作品はかなり読んでいるほうだと思うのだが、僕は『蜜蜂と遠雷』は彼女の最高傑作の部類だと思う。原作と同じく、ここではコンクールに出場する4人のピアニストを中心にストーリーが展開する。

ただ、2時間の映画にするためにどこかを削ったり省いたりするのは仕方のないことで、ここでは風間塵の描き方が一番浅い。その分、蜜蜂への触れ方が薄い、と言うか、ほとんどない。でも、そんな中で、この物語において彼が果たす不思議な触媒の働きはくっきりと描いている。

4人のうち高島明石が僕のイメージと一番遠かった。僕はもっと長身の、どちらかと言うとヌボーっとした人物を思い描いていた。ところが、彼を演じた松坂桃李が思いの外良かった。長い独白にメリハリをつけて、非常に巧い台詞回しだった。

他の男性ピアニスト2人を演じた俳優は僕にとっては知らない人だったが、新人の鈴鹿央士はもう風間塵そのもので、よくこんな人を見つけてきたと思う。

マサルを演じた森崎ウィンも原作通り爽やかな感じが良く出ていた。ジュリアード音楽院の在校生だけに、ちゃんと英語を喋れる人を起用したのも良かった。

そして、栄伝亜夜を演じた松岡茉優である。僕はこの人は 20代の女優としては飛び抜けた存在だと思っている。演技に幅があるし、いろんなインタビューを読んでも、いかに彼女が勉強を怠らないしっかりした存在であるかが伝わってくる。

この映画でも、自分が主人公だと聞いて、他の3人のピアニストもしっかり描いてほしいとリクエストしたと言う。大したものである。割合カメラを据えて長い台詞のやり取りをするシーンが多いのだが、それに見事に耐え、ちょっとした感情の動きの変化をとても上手に表していたと思う。

そして、ピアノを弾く姿のなんと凛々しいこと!

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Sunday, October 06, 2019

Play Log File on my Walkman #131

【10月6日 記】 時々気まぐれに載せている僕の Play Log。今回も10曲

  1. オトノナルホウへ→(Goose house)
  2. ブルー(渡辺真知子)
  3. 贈り物(吉田拓郎)
  4. ソバカスのある少女(ティン・パン・アレイ)
  5. 忘れないで(つじあやの)
  6. 青春のパラダイス(ちあきなおみ)
  7. 雨の日のバタフライ(佐野元春)
  8. 夜の訪問者(小川順子)
  9. きよしちゃん(矢野顕子)
  10. Destiny (シェネル)

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Friday, October 04, 2019

中国の漢字

【10月4日 記】 最近はインバウンドの増加を反映してか、日本国内でもいろいろな外国語表記を目にする。特に多いのは中国語である。

僕は中国語の知識はまるでないが、漢字というものが共通であるがゆえに知らなくてもかなり意味は解るし、意味が解るだけに表現の違いが面白い。

たとえば、これは前に他のところに書いたことだが、中国語では「手紙」がトイレットペーパーのことらしく、では、手紙のことはどう言うのかと言えば「便」だと言うから面白い。ついつい「ベン」と読んでしまうとトイレット関係かと思うのだけれど、「ビン」あるいは「たより」と読んだらなるほどと思うでしょ?

で、最近なるほどと思ったのは「手机」というのがどうやら携帯電話/スマートフォンのことらしいということ。これには大変感心した。

手帳は手のひらサイズの帳面のことだが、もはや手のひらサイズで机並みの働きをする、と言うか、手の中であらゆるデスクワークができるということか!とひとり得心していたのである。

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Tuesday, October 01, 2019

フィンランド

【10月1日 記】 フィンランドに来ている。

どこに行くと書かずに出たものだから、僕が facebook に上げた記事をヒントに、知り合いがいろいろ的外れな推理をしてくれたが、実はフィンランドである。

推理のために僕が与えたヒントは2つ:

  1. 目には青葉 山ホトトギス 驢馬に笑み
  2. 近年はメインテナンスの仕事ばかりで減る新規

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Wednesday, September 25, 2019

冬の練習

【9月25日 記】 暑いときに寒い国に旅するのと、寒いときに暑い国に赴くのとだったらどっちが楽だろう?などと考えてみる。というのは週末から寒い国に旅行に行くからである。

仕事で毎冬ハワイに行っていたときには、家を出る時に着ていたコートを空港のカウンターに預けていた。日本は真冬とは言え、家から空港までほとんど暖房の効いた乗り物の中なので、それくらいの備えで充分である。

その逆はどうかと言うと、僕は暑さには強いが寒いのは苦手ということもあって、そもそもあまり寒い国に行ったことがない。

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Monday, September 23, 2019

映画『HELLO WORLD』のラストシーンについて

【9月23日 記】 試写会で先に観た映画『HELLO WORLD』が公開されたので、少し書いてみる。ネタバレは書かないつもりなので、これからご覧になる方が先にお読みになるのも良いし、見終わってからお読みいただくのでも良いと思う。

あの映画のキャッチフレーズは“この物語(セカイ)は、ラスト1秒でひっくり返る”である。

確かにあのラストシーンの最後のカットで「えっ?」となることは間違いない。「えっ?」で済んだら良いのだが、ま、中には「えっ、えっ、えー???」という人もいるだろう。

いろんな解釈が出てくる。そして、観た者が集まって話をしていると、「あ、なるほど、そういうことか」という線に大体落ち着いてくる(それが何か、まではここでは書かないけど)。

で、みんなで話していて驚くのは、「あのラストシーンはないほうが良かった」と言う人が少なからずいることである(僕の周りではそういう人たちのほうが多数派かもしれない)。彼らは言う。「あれで訳が分からなくなる。あれがなくても話は完結している」と。

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Sunday, September 22, 2019

映画『葬式の達人』

【9月22日 記】 映画『葬式の達人』を観てきた。

僕は大阪人ではあるが、大阪府立茨木高校の卒業生ではない。そして、「イバ高」卒の文豪・川端康成の愛読者でもない(多分、1作か2作しか読んでいない)。目当てはひたすら前田敦子である。でも、一方で、大阪人として仄かな親近感を覚えたのも確かである。

監督は樋口尚文。僕はあまり知らなかったのだが、映画評論家としては夙に有名で、長編映画の監督もこれが2作目、そもそもは電通のクリエイティブ・ディレクターとしてたくさん CM を作ってきた人だそうだ。

舞台は茨木高校。卒業生で、今は母校の野球部の監督をしている豊川(高良健吾)の前に、かつてバッテリーを組んでいた吉田(白洲迅)が現れる。

吉田は当時のエースで、高校野球の予選大会では決勝まで進んだが、試合中に怪我をして退場。そのまま腕が動かなくなり、野球をやめ、どこかに行ってしまった。海外に行ったという噂だが、もう何年も消息がなかった。

その彼が現れたと思ったら、突然交通事故で死んでしまう。その知らせを聞いてかつての同級生が集まってくる。

進学校ということもあって、今ではみんなエリート・サラリーマンだったり、弁護士だったり、府会議員だったり。そんな中で雪子(前田敦子)は木造アパートで息子と暮らす、工場務めのシングルマザーである。

多分ここまでは書いて良いと思うのだが(ネタバレ絶対御免と言う人はこの先は読まないで)、実は雪子の子供の父親は吉田である。

葬儀場が混んでいて却々手配がつかない中、吉田の最大の理解者だと自負する、大変おせっかいな豊川の提案で、吉田の遺体をみんなで母校に運んだり、そこに坊主を呼んだり、その後葬儀屋と喧嘩して追い返してしまったり、ハチャメチャになってくるのだが、みんな結構当時の思い出に浸って楽しんでいる。

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Saturday, September 21, 2019

映画『アイネクライネナハトムジーク』

【9月21日 記】 映画『アイネクライネナハトムジーク』を観てきた。

伊坂幸太郎の小説が原作だが、これは斉藤和義が伊坂幸太郎に作詞のオファーをした際に、詞は書けないけど小説ならと応じた伊坂の短編に、斉藤が今度は歌を作って返し、それを受けてまた伊坂が小説を返すというような形でできた短編集なのだそうだ。

そして、映画化に当たって伊坂が指名したのが今泉力哉監督。音楽は当然斉藤和義である。今泉は自分で脚本を書く人だが、この本に限っては、これまで中村義洋監督と一緒に『アヒルと鴨のコインロッカー』や『ゴールデンスランバー』などの伊坂作品を映画化してきた鈴木謙一に任せた。

登場人物が入り組んで、一体誰が主役でどれがメインのストーリーなのか分からなくなるような展開が続くのが序盤である。

一応主人公は佐藤(三浦春馬)である。彼のクラスメートだった一真(矢本悠馬)と由美(森絵梨佳)は学生結婚して早くも子供がふたりいる。佐藤はいつまでたっても「出会いがなくて」彼女ができない。

そんな不甲斐ない佐藤は、一真によくダメ出しされているばかりか、一真の幼い娘にも「佐藤」と呼び捨てにされている。

一方で、美容師の美奈子(貫地谷しほり)。こちらも出会いのない美奈子に対して、美容室の常連客の香澄(MEGUMI)が「うちの弟なんかどう?」と言い出す。ある日、香澄に騙されて本当にその弟が電話してきたのをきっかけに、ふたりは時々電話し合う仲になるが、いつまでも電話だけの関係である。

そこに加えて佐藤の職場で隣りに座っている先輩の藤間(原田泰造)の話。ある日突然奥さんが子供を連れていなくなったとのこと。藤間は心を病んでしばらく会社を休んでしまう。

そして、日本人ボクサーが初の世界ヘビー級王座に挑戦した日に、路上でアンケートを取っていた佐藤が紗季(多部未華子)と出逢う。紗季の手の甲にはボールペンで書いた「シャンプー」の文字。

と、ここまで読んで何がどう繋がるのか分からないだろうが、少し進んだかと思うと、話は突然10年飛んでしまう。一真の娘・美緒(恒松祐里)はもう高校生だ。そして、同級生の久留米(萩原利久)の存在。

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Friday, September 20, 2019

HTB『チャンネルはそのまま!』

【9月19日 記】 『全裸監督』の記事を書いて思い出した。『チャンネルはそのまま!』の記事を書くのを忘れていた。

北海道テレビ(HTB)が開局50周年を記念して作ったドラマである。1Hもの×5話。北海道ローカルでは深夜枠で5夜連続で放送したが、全国ネットではたとえ深夜といえどもそんな枠は取れるはずもない。それで HTB は Netflix と組んだ。そのことによって恐らく少なからぬ額の制作費が調達できたはずだ。

いざ放送してみると非常に評判が良くて、所謂「番販」(番組販売)の形で各独立局やローカル局に広がり、僕は tvk が我が家では映らないので Tokyo MX での放送開始を待って漸く観た。

いやあ、面白かった、と思っていたら、今日民間放送連盟賞の最優秀賞を獲ったとのニュース。むべなるかな。

そもそもは佐々木倫子による漫画である。で、舞台となっている北海道☆テレビ(ほっかいどうほしてれび、HHTV)は HTB をモデルにしている。佐々木倫子は札幌在住で、何度も取材のために HTB を訪れたらしい。

地方局はあまりドラマというものを作りなれていないが、北海道局ぐらいになると、一般的に言って「ドラマを作ったことがない」ということはない。で、HTB には有名な藤村忠寿という人がいる。大ヒット番組『水曜どうでしょう』のプロデューサーであるのみならず、自ら舞台に立って演劇をする人で、映画にも出ている。

今回は5話のうち何話かを監督しているだけではなく、小倉部長の役で全話出ずっぱりである。公には語られていないが、どうやらこの小倉部長はそもそも藤村忠寿をモデルに作られた人物らしく、言ってみれば自分で自分を演じたわけである。

そして、総監督はこの番組のプロデューサーと親交のあった本広克行が務めている。「制作 Production I.G」というクレジットが出る。「なんでアニメ制作会社が?」と思う人もいるかもしれないが、本広は現在そこの所属なのである。ちなみに脚本は森ハヤシである。

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