Saturday, July 02, 2022

映画『ベイビー・ブローカー』

【7月2日 記】 映画『ベイビー・ブローカー』を観てきた。

しかし、今回の映画はちょっと難しいぞ。

いや、テーマや内容が難解だということではなく。いつもの是枝裕和監督の作品と比べて少し進み行きが分かりにくい気がする。途中で何度か(それぞれ一瞬だが)眠りに落ちてしまったこともあるが、ちょっともう一度見ないとはっきり分からない部分が残った。

とは言え、これは紛れもない是枝監督による、如何にも是枝監督らしい作品である。

『誰も知らない』や『そして父になる』、『万引き家族』にも通じる、家族とは何か、血縁とは何かを問う作品。見ようによっては板尾創路が空気人形とセックスをする『空気人形』も家族の話だったと言える。

考えてみれば是枝監督はずっとこのテーマで撮り続けているのかもしれない。

冒頭は雨の夜のシーン。ソヨン(イ・ジウン)がベイビー・ボックスに自分が産んだ赤ちゃんを捨てに行く。

後にドンス(カン・ドンウォン)とソヨンが雨の話になって、ドンスが「雨が降っているなら傘を持って迎えに行けば良い」という比喩を返すと、ソヨンは小さい頃に友だちが持っていた赤い傘が羨ましくて盗んで棄てたという実体験を話す。

そんな風にこの映画は随所で繋がって行く。

サヒョン(ソン・ガンホ)が観覧車の中で高所恐怖症の少年ヘジンに「ここで吐くなよ」と話しかける。その後のシーンでサヒョンは離婚して妻が引き取った娘に、昔一緒に遊園地に行って娘が吐きそうになった話をして、つれない反応をされたりする。

いや、ちょっと先走りすぎた。まずは最初のストーリーと設定を書いておこう。

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Friday, July 01, 2022

【note】 僕がサラリーマン最後の日に語ったこと

【6月30日】 6月30日で馘首されたので、最後の日に会社で喋ったことを記事にしました。

いつもは人気がなくて「いいね!」も「スキ」もほとんどつかないのに、この日は facebook も twitter も note も普段にはない盛況で、こういうのを「失職バブル」とでも言うのだろうなと思いました(笑)

ま、バブルは明日か明後日には弾けるでしょうね。

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Wednesday, June 29, 2022

『欲望で捉えるデジタルマーケティング史』森永真弓(書評)

【6月29日 記】 森永さんのセミナーはもう何度聴いたか分からないぐらい聴いているが、あの森永さんがこんな本を書くとは思わなかった。

しかし、読んでみて分かったのだが、これは僕らが読む本ではなかった。

森永さんとは微妙に違うとは言え、近い業界にいて接点のある仕事に就いている者からすると、ここに書いてあることはほとんど知っていることなのだ。

確かに知らない用語も2~3はあったし、知っているとは言え全てを記憶しているわけではないので、「ああ、確かにそんなのあったなあ」とか「あ、それはそうだったか」などと思ったところもいくつかはあった。

これはそういうのをきっちり整理してまとめてくれた本である。言うならば教科書的なのである。が、僕らの学年の教科書ではない。

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Monday, June 27, 2022

【note】 たとえテレビ番組であってもインターネットの商品はインターネットのルールで売る

【6月27日 埋】 facebook の会社のプライベート・グループに投稿した記事に少し筆を入れて、note に投稿しました。インターネットと放送の構造について書くのはこれが最後かもしれません:

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Sunday, June 26, 2022

映画『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』

【6月26日 記】 映画『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』を観てきた。5月に観た『復讐者スカー』に続く、3部作の最後。

コロナの影響でイタリア・ロケができなくなり、仕方なくほぼ全編グリーンバックで撮影したと聞くと改めて本当に驚いてしまう。特に今作のパンフレットには撮影のエピソードや写真がふんだんに掲載されており、これを読むとなおさらだ。

そういう意味ではやはり曽利文彦監督の集大成的な映画なのだなと思う。

豪華なキャストに派手なアクション、圧倒的な CG/VFX、そして壮大なドラマ。何もかもが掉尾を飾るにふさわしい出来である。

ただ、いつも書いているように、何を読んでも何を観てもすぐに忘れてしまう僕だから、随所に「あれっ、こんな話だったっけ?」というところがあり、「でも、例によって忘れているだけかも」と思い直して見続けていたのだが、やっぱり「いや、絶対にこんな話じゃなかった」と確信するに至った。

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Saturday, June 25, 2022

映画『神は見返りを求める』

【6月25日 記】 映画『神は見返りを求める』を観てきた。まことにもって吉田恵輔監督らしい映画。

この作品に監督の悪意を感じ取る人もいるかもしれない。また、そのためにこの映画に嫌悪を覚える観客もいるかもしれない。しかし、こういうことをきっちりと描くのもまた映画なのである。

ゆりちゃん(岸井ゆきの)は底辺ユーチューバー。チャンネル登録者数はめちゃくちゃ少ないし、書き込まれるコメントはほとんど悪口。スパゲティ食べながらフラフープ回す、みたいなつまらない映像ばかり配信している。

YouTube の黎明期ならいざしらず、今どきそんなことやっても受けないだろう。

そんな彼女がイベント会社に勤める田母神(ムロツヨシ)と知り合う。田母神はめちゃくちゃ人が好く、ゆりちゃんに頼まれて彼女の配信を手伝うようになる。田母神は仕事がら動画の編集などもできるので、テロップをつけるのに四苦八苦していたゆりちゃんにとって彼はまさに“神”だった。

しかし、田母神は決して敏腕プロデューサーでも、センス抜群の編集マンでもない。彼の感覚はかなりダサい。ただ、ゆりちゃんもそんなに高度なものを彼に求めていたわけではなく、彼の優しい気持ちだけで充分だった。

田母神は忙しい仕事の合間を縫って、きぐるみを調達したり、ロケ場所まで車で送ってやったり、撮影したり、ポストプロダクションを担当したり、あるいはもめごとの交渉にあたったり、時間も金も費やしてゆりちゃんに協力する。ゆりちゃんは心から彼に感謝し、2人はそこそこいい感じになってくる。

ゆりちゃんは何らかの形でお礼をしなければと思うのだが、彼は「僕は見返りを求めない」と言う。

ところが、彼女が人気ユーチューバーのチョレイ(吉村界人)とカビゴン(淡梨)と知り合い、彼らの動画にゲスト出演して、ちょっとキワモノ系の体当たり芸をやったことで突然彼女自身も人気者となり、優秀なウェブデザイナーの村上アレン(栁俊太郎)と組んだことで動画もどんどん洗練されて行く。

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Wednesday, June 22, 2022

セルフ両替

【6月22日 記】 最初がいつだったか定かではないのですが、結婚してそれほど年月が経っていないころから夫婦で 500円玉貯金を始めました。円筒形の貯金箱、と言うか貯金筒に 500円玉が手に入る度に入れていました。

それから何年か経って、筒が一杯になり、それ以上入らなくなったので貯金は中座し、そのまましばらく忘れていました。

それからまたしばらくして急に思い出して、一体いくらぐらい貯まったのか見てみようと言って、筒を開けて数えてみたら、384枚、つまり 192,000円ありました。

「よし、これで何か買おう。その前にまずこれを両替してもらおう」と言ったっきり、またしばらく忘れてしまい、気がついたら銀行も郵便局も気前よく両替してくれなくなっていて、今では多数のコインを札に変えようとすると手数料を取られるとのこと。

「なんだ、せっかく貯めたのに」と言ったっきり、またしばらく忘れていて、100枚ずつ×3つ+84枚×1つの袋が文字通りのタンス貯金になっていたのですが、つい先日また思い出して、「持ち腐れてても仕方がないので、じゃあ、少しずつ使おう」となって、まず 84枚の袋を開け、妻と僕とで2枚ずつ、つまり 1000円ずつを財布に入れたわけです。

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Tuesday, June 21, 2022

『新しい星』彩瀬まる(書評)

【6月21日 記】 連作短編×8=4人の登場人物が2回ずつ主人公になる。みんな何かを失い、問題を抱えている。

青子は生まれてすぐの娘を亡くした。玄也は上司に嫌われたのをきっかけに会社に行けなくなり、引きこもりになった。茅乃は乳がんの手術で乳房を失った。卓馬は出産のために感染症を避けて実家に帰った妻が帰ってこない。

4人は大学の合気道部の仲間だった。その4人が久しぶりに再会して、それからとても良い距離感で接する。

それぞれの問題はそう簡単に解決しない。それどころか、時間が経つに連れてもっと深みに嵌ってしまったり、新たな試練に襲われたりもする。

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Sunday, June 19, 2022

映画『バスカヴィル家の犬』

【6月19日 記】 映画『バスカヴィル家の犬』を観てきた。

(今回はこの文章の最後の部分で、この映画の結末について少し触れるので、ネタバレを避けたい方はここで読むのをやめてください)

普段はそんな映画の見方はしないのだが、今日は買ったズボンの裾上げができるまでの暇潰しに観た(もちろん、映画が終わるよりも先に裾上げは終わるのだが)。

西谷弘という監督は共テレから CX に転じた人で、もう何本も映画を撮っていて、当然僕も名前は知っているが、調べてみたら映画館で観たのは 10本中2本だけだった。

この作品はアーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』を原案としたテレビドラマ『シャーロック』の映画化だそうな。

テレビドラマの劇場版は下手すると映画だけ見てもさっぱり分からなかったりするものだが、なんとなく「まあ、大丈夫だろう」と踏んで観たら、大体は分かったのだが、ディーン・フジオカと岩田剛典の関係性が今イチ分からない。まあ、その程度で済んだのは幸いである。

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Saturday, June 18, 2022

映画『恋は光』

【6月18日 記】 映画『恋は光』を観てきた。小林啓一監督・脚本。彼の作品を観るのは『逆光の頃』、『殺さない彼と死なない彼女』に続いて3本目。

客の入りはまばら。しかも、そのほとんどが若い男性の一人客。人気急上昇中の神尾楓珠の主演だから、若い女の子たちで溢れ返っているのではないかと思ったのだが、当てが外れた。

多分彼らはほぼ全員が西野七瀬のファンなんじゃないかな。うん、平祐奈や馬場ふみかのファンではなく西野七瀬のファンであるような気がする。

会話劇である。そして恋愛ドラマである。普段から「甘っちょろい恋愛ドラマなんて」と言っている人は観なくて良い。意地の悪い言い方をすれば、「恋愛ドラマなんて」などと言っている奴にこの映画の素晴らしさが分かるわけがないと思う。

僕は心から気に入ってしまった映画があると、逆に他人に勧めたくなくなる。この映画はまさにそんな作品だった。すこぶる素敵な映画だった。心が洗われた。珍しく女性向けのコミックスではなく、『ウルトラジャンプ』に連載されていた漫画が原作である。

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Thursday, June 16, 2022

『映画を早送りで観る人たち』稲田豊史(書評)

【6月16日 記】 僕は著者が2021年に同じタイトルでビジネスサイトに書いた9本の記事を全部読んでいるし、同年 7/29 にメディア環境研究所のセミナー「メ環研の部屋」で、本書にもたびたび登場する森永真弓さんと著者が対談したのも聴講している。

だから、この著者が書いていることはすでに大体知っており、せっかくこの本を買って読んでみたものの最初のほうは前に読んだり聞いたりしたことばかりで、あまり新味がなかった。

しかし、著者はこれを書籍化するにあたって大々的に追加のリサーチやインタビューを重ねており、彼が以前書いたり喋ったりしたことを補強するそれらの要素が次々と出てくるに及んで、全く目が離せなくなった。

彼が最初にネット上に書いた時に、僕が反応したのは「早送りで観る」ことよりも、「ネタバレ記事を読んでから観に行く」ということのほうだった。彼らはドキドキ・ハラハラするのが嫌だから、先にストーリーを結末までしっかり調べて、それを知った上で観に行くという。

これは僕には信じられない暴挙だった。僕はそもそもハラハラ・ドキドキするために観ているような向きがある。先に全部分かってから観て何が面白いのか?と唖然とした。

自分が不快に思うようなシーン(例えば暴力など)は一瞬たりとも観たくないので、ネタバレ記事や早送りでそういうシーンがないことを確かめてから観るという。

彼女にとっては、「めくるめく展開」や「予想もしないどんでん返し」や「複雑で込み入った物語」はすべて不快。ゆえに避けたいのだ。

それって、何のために観ているのか、僕にはさっぱり理解できない。

著者は早送りに関してこんな風にも書いている:

知っていたほうがマウントは取れる。「マウントを取られる前に取りたい」が、早送りをする人たちのメンタリティの中にある。

うーむ、これもよく分からない、と言うか、僕とはまるっきり違う。僕は誰かに勝ちたいという思いはない。僕はただみんなと違っていたいだけなのだ。

早送りでドラマを観ても感動できないでしょう?という問いに対して、「感動は求めていません」と真顔で答える若者がいるということにも衝撃を受けた。

彼はこう書いている:

彼らは「観たい」のではなく「知りたい」のだ。

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Wednesday, June 15, 2022

無題

【6月15日 記】 鶏が先か卵が先か、という議論がある。どちらが先とは断定しにくい。

ならば、こう考えてはどうか? 書いても書いても評価されない、なのか、評価されなくても評価されなくても書く、なのか、どちらか分からない。

と言うか、後者で良いんじゃないか(笑)

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