映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』
【4月26日 記】 映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』を観てきた。
僕は 2007年の『恋するマドリ』以来、大九明子監督のかなりのファンである。
とりわけ 2015年の『でーれーガールズ』以降の映画については1本たりとも見逃していないのだが、今回の出来は特に素晴らしい。
こんなに心を揺さぶられたのは初めてである。
いつも小さな日傘を差していて、なんとなく冴えない感じの小西(萩原利久)。髪の毛をてっぺんでお団子にして、授業が終わったら一目散に出て行き、食堂では一人姿勢正しくざるそばを食べている桜田(河合優実)。ともに関西大学の学生である(関大がロケで全面協力している)。
小西には、友だちと言えるのはとんでもなく変人で、これまたイケていない山根(黒崎煌代)ぐらいしかおらず、一方桜田にはひとりも友だちがいない。
そんな2人が大学で出会う。まずは小西が桜田に魅かれる。思い切って話しかけてみると、ものの感じ方や価値観がめちゃくちゃ近くて、2人はすんなり友だちになる。
いつも疎外感を抱いて生きてきた小西が、初めて自分と心を通じ合える女性と巡り会えた高揚感が、スクリーン上でなんとも上手に表現されている。
そして、一つひとつの台詞が秀逸で、この本はちょっと書けない気がする。
この映画の原作はジャルジャルの福徳秀介の処女小説なのだが、果たしてこれらの台詞は原作にあったものなのか、それとも脚本を手掛けた大九監督によるものなのかがめちゃくちゃ気になったが、パンフレットを読むとかなり原作に忠実であるらしい。
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