Thursday, June 08, 2023

映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』

【6月8日 記】 映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を観てきた。

原作は荒木飛呂彦の大ヒット長編漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンアウト作品。後に NHK でドラマ化もされている。今回はその NHKドラマの劇場版である。

僕はいずれも観て(読んで)いないので、普段はこういう映画は観ない(観ても分からないんじゃないかと思うから)のだが、似たような条件で観たにも関わらずしきりと褒めている知人がいて、少し気になって観に行った次第。

一応観る前に岸辺露伴は人気漫画家で、人間の心の中や記憶を書物に変えて読むことができ、そこに書き込むこともできるという特殊能力の持ち主であることだけは予習しておいたのだが、それは冒頭の骨董屋のシーンで一気にさらっと説明してくれた。

岸辺露伴に扮した高橋一生がかなり作った、と言うか芝居がかった喋り方をしている。そのお供役の編集者・泉京香役の飯豊まりえが軽くてバカっぽい喋り方でコントラストをつけている。超能力の岸辺に対しておバカな免疫力とでも言うべき京香が面白い。

その2人が、とある日本人画家が描いたこの世で最も黒い絵を求めてルーヴル美術館に行く話である。

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Tuesday, June 06, 2023

『大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK / NIAGARA ONDO BOOK』

【6月6日 記】 CD で音源を手に入れるのは、何が何でも CD で保持したいものだけにして、できるだけ買うのはやめておこうと思っているのに、また買ってしまった。

いや、その表現は違うか。久しぶりに何が何でも CD で持っておきたい音源を見つけてしまったのである。それは2枚組の『大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK / NIAGARA ONDO BOOK』である。

大滝詠一をアルバム『A LONG VACATION』で初めて知ったという人も少なくないだろう。もし『A LONG VACATION』しか知らなかったら、このアルバムを聴いて「なんじゃ、こりゃ?」と思うかもしれない。

僕ははっぴいえんどの頃から聴いている年寄りである。そして『A LONG VACATION』を初めて聴いた時には、逆に「この人はこんなメロディアスな曲を作れるのか!」と驚いたのである。

もちろん彼がアメリカと日本のポップスに関して該博な知識と洗練されたセンスを持っていることは知っていた。でも、はっぴいえんど時代の彼からはこんなポップな歌が次々と出てくるとは想像もつかなかったのである。

はっぴいえんど時代の大滝詠一はとにかく変な曲を書く人だった。くにゃっとした変な曲をくにゃっとした変な唱法で歌う人だった。メロディがどっちに行くのか分からなかった。コード進行がというか、そもそもキーがよく分からなかったりもした。

でも、細野晴臣と最初に会った頃の大滝詠一はかなりメロディアスなものが好きで聴いていた(確かビージーズとかだったと思う)という話を後から読んで知った。あの頃の大滝は多分細野の影響を受けて一生懸命ロックに、しかも新しいロックに寄せて曲作りをしていたのだろう。

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Monday, June 05, 2023

Netflix & Amazon Prime 鑑賞記録

【6月5日 記】 どこまで行ってもあくまで自分のための備忘録なのだけれど、久しぶりにリストを更新してアップしておきます。

今観ているのは Netflix では『メイドの手帖』と『スイート・トゥース』。後者は夫婦で観ています。

Amazon は第1話を見逃した『魔法使いの嫁』 season 2 以外はちょっと休止中で、たまにローリング・ストーンズの古いライブ観たりしてました。

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Saturday, June 03, 2023

映画『渇水』

【6月3日 記】 映画『渇水』を観てきた。企画プロデュースに白石和彌の名がある。

監督は高橋正弥。この人の監督作品を観るのは初めてだが、彼が助監督としてクレジットされている映画は今までに 12本観てきた。うち2本が根岸吉太郎、2本が宮藤官九郎、1本が相米慎二監督。

今どきあまり描かれることが少なくなった貧困を扱った作品だ。それもそのはずで原作は 1990年の芥川賞候補作なのだそうだ。

主人公は前橋市(だったかな?)の水道局職員の岩切(生田斗真)。後輩の木田(磯村勇斗)と組んで、各家庭を回って未払いの水道料金を取り立てる仕事をしている。4か月以上滞納し全く払う気のない家については水道を止めることになる。

ただでさえお金がなくて困っている家のライフラインを止めてしまうわけだから、止める側にも葛藤はあるし、同僚の中には自己嫌悪に苛まれて仕事を続けられない者も出てくる。

僕は子供の頃に昼間から雨戸を締めて静かにしていろと父親に言われたこともあるし、その何日か後に学習机を含む家中のいろんなものに差し押さえの札を貼られたこともあるが、電気や水道を止められたことはない。

僕の場合は係官が学習机の裏側の見えないところに差し押さえの札を貼ってくれた。差し押さえでさえそれくらいの気は使うのである。水を止めるとなると最悪死んでしまう可能性もあるので、相当なプレッシャーはあって不思議ではない。

おまけに岩切は、子供の頃に父親からまともな愛情を与えられず折り合いが悪かったために、自分の息子に対して一体どう接すれば良いのかが分からない。そんなことが発端となって、妻の和美(尾野真千子)は息子を連れて実家に帰ってしまい、彼は自炊して花に水やりをして仕事にでかけ、毎日誰もいない家に帰る暮らしである。

水を止められるほうは失業中の中年男(宮藤官九郎)や全然売れなくなった傘屋の老主人(吉澤健)、そして、幼い娘2人(山崎七海、柚穂)を抱えたシングルマザーの小出(門脇麦)ら。岩切と木田は決して非情な態度で杓子定規に水道を止めたりしない。彼らも悩みながらやっているのだ。

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Tuesday, May 30, 2023

はてしないトイレ談義(8) ~All-Gender Restroom For Everyone

【5月30日 記】 トイレについてはこのブログにも随分いろいろと書いてきました。ここまで書き連ねてきたものについては『果てしないトイレ談義』という共通タイトルでひとつにまとめて別立てにしてあります。

そして、また久しぶりのトイレ談義です。多機能トイレってあるじゃないですか。少し前までは多目的トイレという言い方もありました。この名前、どう考えてもとても変ですよね?

多機能(あるいは多目的)って、うんことおしっこと、それから何ができるの?──みたいなことを僕は以前の記事に書いています。いや、分かるんですよ、これは障碍のある人のためのトイレだって。でも、それを多機能とか多目的とかマルチユースとか言うかな?って感じです。

おまけに、トイレの前でよく音声ガイドが流れていて、例えば「向かって右が男子トイレ、左が女子トイレ、左奥が多機能トイレです」などと言っているのですが、これが何度聞いても「左奥が滝のおトイレです」に聞こえてしまいます。流そうとしたら頭から水を被るのではないかと心配になります(笑)

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Saturday, May 27, 2023

映画『波紋』

【5月27日 記】 映画『波紋』を観てきた。荻上直子監督には最初の頃は熱中したのだが、ある時期からこの映画作家はダメだと絶望して、それ以来全く観ていなかった。

何に絶望したかと言うと、この人はいつも人の悲しみを描いているようで、それが何の悲しみなのか、過去に一体何があったのかということを具体的かつ明確に描かないまま、なんか仲間たちと触れ合っていると、あらあら不思議、それがちょっぴり癒やされました、みたいな作りをしていると思ったからだ。

それは観ている人々に全く根拠のない希望を与えてしまうことになる。それではダメだと思った。げっそりした。むかっ腹が立った。まるでインチキな新興宗教みたいな手口ではないか。

前作『川っぺりムコリッタ』は随分評判が良かったのでよっぽど観てみようかと思ったのだが、やっぱり今までと同じような映画なのではないかという思いが拭えなくて、どうしても見に行けなかった。その後 WOWOW で放送した際に録画もしたのだが、どうしても観る気にならず、結局消してしまった。

それほど絶望していたのである。

それが今回は少し風合いが違うような気がしたのだ。奇しくもインチキな新興宗教が描かれた映画だ。実に『トイレット』以来 13年ぶりに映画館で観た荻上作品である。

で、果たして、観てみると、それはニュー荻上直子だった。いや、13年も観ていないわけだからそんなことを言う根拠も資格もないし、そもそも 13年も経てば誰だって変わるだろうと言われるだろうが、少なくともそこにあったのは僕が長らく忌避していた荻上直子ではなかった。

しかし、それにしてもこの映画はさながら筒井真理子ショーだった。

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Friday, May 26, 2023

あいみょんとユーミン

【5月26日 記】 もう何ヶ月も前に facebook で読んだ知人の記事がいつまでも心に引っかかっている。

彼はシンガーソングライターのあいみょんが好きらしいのだが、彼女を褒めるだけでは事足りなかったのか、「ユーミンを超えた!」と書いていたのだ。

そんなこと書くか? というより、その2人を比較するか? ──そこがどうしても僕には理解できない。あいみょんと松任谷由実を並べて論じようとする感性が理解できない。音楽性に共通点が少なすぎやしないか?

あいみょんとユーミンはキダ・タローとモーツァルトぐらい違う、とまでは言わない(キダ・タローとモーツァルトでは天と地ほどの隔たりがあるからこそ、キダ・タローが「浪速のモーツアルト」と自称していることがギャグになるのである)。

そこまでかけ離れているとまでは言わないが、逆に彼にとっては並べて比較したくなるほど近いのか? 僕からすると、そこが根本的に解せない。

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Tuesday, May 23, 2023

映画『宇宙人のあいつ』

【5月23日 記】 映画『宇宙人のあいつ』を観てきた。最初に予告編を見たときにはあまりにバカバカしい設定で、全く観る気は起こらなかったのだが、飯塚健が監督・脚本だと知ったら話は別だ。僕はこの監督にはそれくらい入れ込んでいる。

実際観てみたら断然面白かった。ギャグ映画なんかじゃなかった。設定はむちゃくちゃながら結構ハートウォーミングな家族の物語ではないか!

高知県土佐市で4人のきょうだいが暮らす真田家。

長男の夢二(日村勇紀)は亡き両親が残した焼肉屋を継いでいる。次男の日出男(中村倫也)も焼肉屋を手伝っている。長女の想乃(伊藤沙莉)はモテない、と言うか男運の悪い31歳。ゴミの集積所でゴミの仕分けの仕事をしている。三男の詩文(柄本時生)はガソリンスタンド勤務。

しかし、実は日出男は23年前に調査のために地球にやってきた土星人で、そのことを知っているのは亡くなった両親と夢二だけだった。下の2人は記憶を消されたこともあって、そんなことは全く知らずに実の兄だと思っていた。

その日出男が土星の1年(地球に換算すると 23年)の任期が終わって土星に帰ることになった。それを夢二が朝食の席で下の2人に明かすところからストーリーは始まる。

毎日の朝食の席での儀式めいたルーティンとか、その席で4人のうちの誰かが議題を持ち出す「真田サミット」とか、想乃の同僚・あかり(関めぐみ)の娘の不思議な能力と物言いとか、何があろうとも毎日焼肉を食べに来る常連客・望月(山中聡)とか、とにかく如何にも飯塚監督らしい微妙におかしいシチュエーションがふんだんに用意されている。

台詞回しも微妙におかしいのだが、とりわけ伊藤沙莉はまだ無名の頃からずっと飯塚監督が使い続けてきた役者だけあって、飯塚健の脚本のリズムを完璧に掴んでいて、飯塚健ファンにはたまらない感じである。

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Monday, May 22, 2023

友だち論

【5月22日 記】 みんなそうだと思うのだが、我々は長い人生で、恋愛相手も友だちも随分ととっかえひっかえやってきた。

恋愛の相手に関して言えば、好きになって、そのあとうまく行けば恋人になり(結婚する場合もあるが)、そのあと破局を迎えて、暫くして次の恋をする──という割合同じことの繰り返し(うまく行けばどこかでその繰り返しを阻止できる)だが、友だちのほうはもう少しバリエーションがある。

幼い頃からずっと続いている友だちもいれば、最近できた友だちもいる。前から知ってはいたが全然親しくなかったのに急に親しくなった友だちもいる。あれだけ仲が良かったのに些細なことから仲違いしてしまった友だちもいる。長らくの音信不通ののちに復活する友情もある。

そういうことを考えると、なんとなく幼馴染からずっと続いている友人関係が一番素晴らしい、みたいな印象を持ちがちなのだけれど、最近僕はそれは違うんじゃないかという気がしてきた。

その時の自分や自分をとりまく環境、あるいは時代などに相応しい友だちというのがあったのではないだろうか、と。

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Sunday, May 21, 2023

Play Log File on my Walkman #153

【5月21日 記】 ときどきやっている僕の Walkman でのプレイログ披露。ランダム再生した中から今回も5曲。

  1. ハートブレイク(松任谷由実)
  2. スカンピン(MOONRIDERS)
  3. 純愛(片平なぎさ)
  4. 私は忘れない(岡崎友紀)
  5. ジャンクビート東京(リアル・フィッシュ)

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Thursday, May 18, 2023

Netflix 『ザ・クラウン』 season 5 まで

【5月17日 記】 Netflix の『ザ・クラウン』(The Crown)を season 5 まで見終わった。season 5 で終わりだと勝手に思い込んでいたのだが、season 6 を今年中に配信するとのテロップが出て驚いた。当初から 6 seasons, 60 episodes と発表されていたらしい。

いずれにしても壮大なドラマである。これはイギリスの大河ドラマだと思う。

NHK の大河ドラマは1話45分で週1回、1年間の放送なので合計 40時間弱だが、この『ザ・クラウン』は 60話。ネット上のコンテンツの常で毎回の尺は決まっておらず、50分前後のこともあれば1時間を大きく超えることもあるが、仮に毎回 60分だとしたら合計 60時間となり、大河を凌駕するボリュームである。

そのボリュームの中でエリザベス2世の少女時代から、どうやら彼女の死までを描くのだろう。

それにしても驚くのは、この撮影の規模である。英国の王室の話なので、当然彼らは巨大な城に住んでいて、しかも城は1つではなく、広大な土地を持っており、そこで猟銃を持って狩りにいそしみ、競走馬の馬主であり、大型船に乗って世界に航海し、外交目的で諸外国にも渡る。

このロケやセットは一体どこなのか? どこまでがロケやセットなのか? CG はどの程度使ったのか? ──その辺のことは分からないのだが、ともかく毎回毎回圧倒的な景色なのである。

そして、このドラマの特徴は、王族も我々と変わらない人間なのであって、王族には王族の、我々とは全く違った強烈な束縛があって、とても生き辛いのだということに焦点を絞っているところである。脚本、演出ともに見事としか言いようがない。

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Wednesday, May 17, 2023

記事「乱丁・落丁本」へのコメント

【5月17日 記】 インターネットというのは恐ろしいところで、書いたことを本人が完全に忘れている何年も前の記事にコメントやリプが付いたりする。

このブログに凡そ8年半前(2014/10/15)に書いた記事「落丁・乱丁本」に昨日突然コメントが付いた。

その記事の内容を要約すると、

僕が買った本の中に、折り畳まれたまま裁断されてその上に印字されたみたいな箇所があり、本には「落丁・乱丁本はお取り替えいたします」と書いてあるが、申し出れば果たして本当に替えてくれるんだろうか?

みたいな感じだ。

それに対して昨日いただいたコメントは、

これは乱丁とは言いません。
印刷機に入る時に紙が折れていて
そのまま印刷してしまった、と言う現象です。

というものだった。

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«『統計学が見つけた野球の真理』鳥越規央 (書評)